長崎への小旅行

天草崎津集落の世界遺産指定の影響もあってか、
天草西海岸の観光地は、この秋はとても盛況だったようだ。
五足のくつも、伊賀屋旅館もおかげさまでたくさんのお客様にお出でいただいた。
働き方改革の時代である、
どちらの旅館も12月初旬に三日間の休業を決め、
施設&スタッフ充実日として、修繕工事などを行った。

「じゃあ、私は、長崎へ行って、
レストランで使うコースターなどの小物を買いに行ってきます。
前からインスタで気になるお店がありますから」
と、支配人の中川が言うので、私は、
「じゃあ、久しぶりにター坊のすし屋でランチでもしようか」と提案した。

ター坊は、私のいとこで、
長崎で『鮨好(すしよし)』というすし屋を営んでいる。
カウンター4席のとても小さな店だが、味は素晴らしい。

この店のことを考えると、
格付け機関などの情報ソースなどに引っかからないのがとても不思議だ。
地元長崎の人たちでも、今回の小旅行で出会った人たちが、
「ランチはどこで?」と尋ねるので、「小江原の鮨好で」と答えると、
「天草のほうがおいしいお寿司屋さんはあるでしょうに」と言う。
情報のブラックボックスに落ちたような感覚だ。
逆に、自分の舌だけを頼りに、この店にたどり着いた、
この店の常連の方々というのは、やはり超のつく魚好きと言えると思う。

カウンターの席に座ると、ター坊は、スマの中落ちを削り、
カラシをつけて出してくれた。
キハダマグロを切っているところを眺めていた中川が、
肉みたいに綺麗ですね。というと、
ター坊が、「そら魚に失礼ですばい」と返していた。

造りは、大胆にも1キロ半ほどのスマを厚切りにして
背面全部をカラシでいただく。
「ポン酢やったら旨うなか魚も旨くなるけん。
だいたい日本人は、魚はわさびじゃなく、カラシで食いよったとよ。
小林一茶の弟子がそがん俳句ばつくっとったろ」

スミイカの握りは、やはりでかいミズイカよりもはるかに繊細である。
橘湾のアカアシエビで包んだシャリの温度の加減のよさ。
有明海のコハダは、脂がのって、下の上をつるっと滑って流れていった。

帰りは、バスを乗り継いで茂木港へ。
夕方5時発の船に乗った。
天草の富岡港を朝9時15分の出港だったから、
わずか半日で、充分すぎる小旅行ができた。

海が凪いだ日の朝、「どうですか」と、
お客様に提案したい一日の過ごし方である。

五足のくつの一行も使った、茂木、富岡線に乗るだけでも、
港の待合所で船を待つ人たちの、その旅の目的に思いを馳せるだけでも、
すてきな旅情につながることは、間違いない。

 

↑キハダマグロ。ぜひ食べていただきたい。
そして、このあとの料理は食べることに熱中してしまい、
写真を撮りそこなってしまった。

 

 

 

 

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