ある会合でのこと

もう10年ぶりではないだろうか、
熊本県環境衛生同業組合の懇親会に呼ばれ出席した。
旅館の主人の集まりだが、メンバーもけっこう入れ替わっていた。

私は、前の席の人と、名刺交換すると、
「ああ、写真家の松隈から
五足のくつによく撮影に行くよと聞いていましたよ。
彼とは、中学校から高校まで6年間、寮で一緒でしたから」
「マリスト学園ですか」
「そうです。山崎さんは、高校は?」
「熊本の真和です。じゃあ、一口、知ってますか」
「同級生でした。寮でも一緒でした」
「じゃあ、私たち松隈も一口も山崎さんも皆、同級生だったんですね」
と言いながら、携帯を取り出し、一口に電話をかけ、
「今、五足のくつの山崎さんと一緒に飲みよるばってん、
二次会は、八代でお前と飲むばい。ワッ、ハッ、ハッ」
と告げて、豪快に笑い、
「一口は、今、熊本銀行の八代支店長ばしよるですもん。
よか男ですたい。幼稚園と小学校が一緒で、
家も隣でしたから、一番の同級生ですよ」
「私も一口とは、年に3回くらいは飲みますよ。
真和の同級生たちと一緒に」
「私の息子も真和だったですばい。高校は。
中学から寮に入れとったです。
今年、ようやく大学ば卒業すっとですよ」
「えっ、今年、大学卒業なら、私の娘と同級生ですばい。
娘も真和中、高ですよ」
私が驚いて、そう告げると、その人は、
「こがん共通する話題で盛り上がったとは初めてですばい。
今後もよろしくお願いします」

飲みながら、さらに話し込んでいくと
私の高校時代の先輩数人との付き合いがあるらしく、
盛り上がりは欠ける間もなく楽しい夜だった。

帰宅して、頂いた名刺を改めて見ると、創業明治12年とあった。
住所を見ると、佐敷とある。

思い起こせば、すでに40年が経過しているのだが、
高校二年生の夏だった。
佐敷にある、一口の自宅に泊まらせてもらったことがある。
料理屋の女将さんでもあった彼のお母さんに
おいしいものを皆でたくさん頂いた。
無邪気に楽しかった。
思い出に残る、その夏の日を、
私はなんどもなんども反芻し、心行くまで楽しんだ。

 

*****

熊本県・天草市・下田温泉の旅館「五足のくつ」は、九州・熊本の雲仙天草国立公園にある、全室源泉かけ流し天然温泉の露天風呂付き離れの宿です。生ウニや伊勢エビやアワビなど、旬の地魚を使った懐石料理や天草産の天草大王・天草黒牛が人気。白秋らの紀行文「五足の靴」が名前の由来。

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