西平椿公園

昭和50年代のことである。
ある大手旅行会社の熊本支店長に着任された方を
天草町観光課職員が西平椿公園に案内したところ、
その支店長さんは公園の駐車場に到着早々、
車から慌てて降りるなり、両手を大きく広げて、
「素晴らしい!!」と叫んだという。
「何だ、この雄大な景色は!」と、興奮し、
そして、「素晴らしい!」を繰り返したという。


興奮が鎮まったところを見計らい、観光課職員は説明をはじめた。
「あれが大ヶ瀬です。九州の釣り人の憧れの瀬で、
九州場所のお相撲さん方が食べるアラ(クエ)も、
ここで釣ったものが多いらしいです」
などと、当たり障りのない話をしていると、
その支店長さんは、このような話をはじめられたそうだ。

「昭和41年、天草五橋開通時に、
天草の観光客数と阿蘇の観光客数はほぼ同数でした。
しかし、その後、逆転し、阿蘇の観光客数は順調な伸びを見せましたが、天
草は阿蘇の陰に隠れる格好の観光統計のグラフになって現在に至っています。
私たちの社内会議でもそういった話題が出るのですが、
皆、やはり阿蘇の世界的に雄大なカルデラの景色には天草は勝てないだろうあ、
という結論で終わっていたのです。
しかし、今、私の目の前に広がる東シナ海に浮かぶ
大ヶ瀬、小ヶ瀬を含めたこの大自然の景色は、まさに世界的です!
素晴らしい!
この絶景を多くの旅行者に知らせましょうよ。
これは天草だけではなく、日本の財産ですよ」

当時は、旅行者の支店長であれば、地元の旅館で接待するのが常であった。
懇親会の席上でも、支店長さんの「絶景への興奮」は冷めやらなかったという。
大ヶ瀬を眼前にすると、いつもこの支店長さんの話を思い出す。

↑写真・左の奇岩が大ケ瀬。大ケ瀬を眺めながらのお弁当は幸せだ

久しぶりに、西平公園を訪れた。弁当を携えての撮影会である。
今、SNSで話題の「ラピュタの木」、
石を抱くアコウの木を撮りに来たのだ。
この木を見るたびに思い起こす話は次回にしよう。

 

 

 

 

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熊本県・天草市・下田温泉の旅館「五足のくつ」は、九州・熊本の雲仙天草国立公園にある、全室源泉かけ流し天然温泉の露天風呂付き離れの宿です。生ウニや伊勢エビやアワビなど、旬の地魚を使った懐石料理や天草産の天草大王・天草黒牛が人気。白秋らの紀行文「五足の靴」が名前の由来。

 

 

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