伊賀様の領収書

「社長!見てください!
こちらの領収書をお客様が持ってこられました!」

下田温泉伊賀屋旅館のスタッフである森口が
慌てて私の許に持ってきたその領収書を見て
私も驚きを隠せなかった。

伊賀屋発行の当時のいわゆる公給領収書である。

一泊二食付きの宿泊料金が5千円、
ビール一本が300円となっている。

「なつかしい」
つぶやいた私は、
久しぶりに見る父の手書きの文字をなぞるように見ていた。


伊賀様の領収書

 

そのお客様は、伊賀様という鹿児島からのお客様であった。
「昭和49年に新婚旅行で天草の下田温泉へ来ました。
もう夜も遅かったのですが、
宿を決めようとふたりで歩いているときに
こちらの伊賀屋さんをみつけたのです。
同じ名前の旅館があるわ、と
これも何かのご縁かも、と泊まらせていただいたのです。
私たちの先祖は、もともと三重の伊賀からやってきて、
この名前には飛び切り反応しますから」

そう言われた伊賀様に領収書を返すと、
また大事そうにビニール袋に入れられた。

「こうやって何十年もの間、大事にしてきたんです」
私は、有難くて涙が浮かんできた。

 

 

最近、伊賀屋の運営についていろいろ考えていたが、
その領収書が父から私へのアドバイスのように感じられ、
久しぶりに親からの愛情を味わった。

翌日、7月8日は、父の誕生日だった。
山崎家の墓から眺める穏やかな海を見ながら、
父に連れられて行った
少年の日のガラカブ釣りがどれだけ楽しかったか、
亡き父に伝えたかった。

 

熊本県・天草市・下田温泉の旅館「五足のくつ」は、九州・熊本の雲仙天草国立公園にある、全室源泉かけ流し天然温泉の露天風呂付き離れの宿です。生ウニや伊勢エビやアワビなど、旬の地魚を使った懐石料理や天草産の天草大王・天草黒牛が人気。白秋らの紀行文「五足の靴」が名前の由来。

7月〜8月中旬までは「とろける生ウニまつり」開催! ⇒⇒

 

 

 

山口祐司氏への追悼文1

あれはたしか昨年の11月だったと記憶しているので、
すでに半年以上が経過したことになる。
作家の山口由美さんから突然、電話があった。

「父の山口祐司が先日亡くなりました。
つきましては、追悼文集をつくろうと思うのですが、
書いていただけませんか」

一瞬、私の耳は今、誰から何の用件を聞いているのかわからなくなっていた。
あまりに私にとって現実感が乏しい話を聞いていたからであろう。

山口祐司氏といえば、早稲田大学商学部を卒業後、
コーネル大学で世界最新のホテル経営学を学ばれた
日本屈指のホテリエであり、
富士屋ホテルチェーンの総支配人を務められた方である。
もちろん私は、直接お話をさせていただいたことはなく、
ホテル業界の見本市などの分科会の教室で、
その難解なお話をされる御姿を何度か拝見した程度なのである。

そんな私に、なぜお嬢様の山口由美さんは
追悼文寄稿の依頼をされるのだろう。
疑問に思っていると、山口由美さんは続けて、
「もちろん、錚々たる顔ぶれの方々にもお願いしてあります。
ただ、山崎さんには父が言っていたという
例の増価主義のことについて書いていただきたくて」

なるほど、合点がいった。
そして、「承知いたしました」と答えて、電話を切ると、
その瞬間から追悼文をどう書こうか、格闘が始まった。
何度も何度も推敲を繰り返した。
これほどの力を集中して文章を書いたことは初めてだった。

そして、今年の2月5日、
私は東京の帝国ホテルで行われた「お別れの会」へ参列させていただき、
参列者にだけ配布された、その追悼文集を大事に携えて天草に帰った。

それは、私の家の家宝となった。
これまで旅館業に勤しんできてよかったとも思った。

熊本県・天草市・下田温泉の旅館「五足のくつ」は、九州・熊本の雲仙天草国立公園にある、全室源泉かけ流し天然温泉の露天風呂付き離れの宿です。生ウニや伊勢エビやアワビなど、旬の地魚を使った懐石料理や天草産の天草大王・天草黒牛が人気。白秋らの紀行文「五足の靴」が名前の由来。

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黒沢さん

「この広大な五足のくつの敷地の樹木や石組みの管理は
どのようにやっているのですか」
という質問をよくお客様から頂く。

「東京から移住してきた庭師の方がいて、丁寧に手を入れてくれています」
「えっ、ひとりでですか」
「そうです」
「よほど働き者なんでしょうね。
この勾配のついた広い敷地のなかで、ちゃんと自然な風に手を入れすぎず、
手を抜かずって感じにできていますよ」

庭師の黒沢さんは、5年前に家族で移住してきた。
奥さんは、移住当初、五足のくつで正社員として働いてくれていたが、
出産のため退職し、現在は、
五足のくつでアロマトリートメントのセラピストとして活躍してくれている。

黒沢さん夫妻は、天草で二人の子供をもうけ、計6人の大家族である。
人口減少の激しい天草では、貴重な存在であるが、
ここ数年、都会から移住してくる人たちが天草ではとても増えてきている。
皆さん、黒沢さんのようになんらかの技術を持たれていたり、
カフェやイタリア料理の店を出されたり、
天草の文化度、魅力アップに貢献している。

そして、皆、天草のことを好きである。
黒沢さんも、もう立派な天草弁でしゃべる。

ところで、昨年のことだが、天草空港の待合所で、
突然、私に話しかけてくる人がいた。
「五足のくつの山﨑さんですよね。黒沢です。
いつも家族がよくしていただいて。ここでお礼が言えてよかったです」
黒沢さんのお父さんのようだった。

「いえいえ、逆に私どもの方がよくしていただいております」
と言って、私は空港を後にしたが、
どうして私のことがわかったのだろう、と思った。
おそらく写真をご覧になったのだろうが、
空港で見ず知らずの人に声をかけるにはよほど確信がなければ声をかけないだろう。
とすれば、私の顔はそんなにも特徴的なのだろうか、
そのようなことを苦笑いしながら思った。

 

↑黒沢さんとアマガエル

↑天草市政便りにもインタビュー記事が掲載された

 

*****おまけ*****

熊本県が作成した移住促進ムービーにも黒沢ファミリーが登場!

とっても素敵なムービーです!

そして、こちらがインタビュー記事です

良かったら合わせてご覧ください!!

 

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石山離宮 五足のくつ

天草・下田温泉 旅館 伊賀屋

 

 

 

綺麗な献立

今朝、面白い夢をみた。

世界宿文化研究学会という楽しい宿の集まりがあるのだが、
メンバー何人かが五足のくつに集まっている。

だが、これはよく夢であることだが、
そこは五足のくつと私が思っているだけで
実際の五足のくつではなく、どこか知らない旅館である。

会合が終わり、外に出ると、メンバーは、私一人になり、
どこかからか、その玄関前に女性3人がやってくる。
焼肉を食べてきたと言い、かなり酔っている。

時刻は、朝の4時半で、この女性たちの騒ぎを私が心配していると、
この旅館の親戚という年老いた女性が出てきて、
「うるさい」と口では言わないが、顔は迷惑そうにしていた。

そして、その年老いた女性の後ろを歩いていると、
学会のメンバーも、また集まってきた。
みんなで歩いていると、
坂道の角に朝早くから営業している料理屋さんがあった。
まだ朝の6時というのに、
朝ごはんを食べにくる人たちでにぎわっているのだ。

私たちは、「おもしろそうだなあ」と言い、
そのお店に入った。献立が書かれている何枚かのメニューを見て、
私は、そのあまりの綺麗さに驚いた。

海鮮丼の具材であるウニやイクラ、
魚の色合いの綺麗なことといったら!!

ニンジンやナスのお煮つけ、
キュウリやダイコンのお新香などの色合いにも目を奪われる。
リンゴやバナナは、
南の島国の太陽の光を映したかのように輝いている。

そうやってメニューを見ているうちに時間は流れ、
私は一人そのお店に残っていた。
まだ朝ごはんを食べていないが、
一人必死に無くなったメニューの一枚をさがしていた。

朝、出勤すると
私のデスクに、今、旅館伊賀屋で企画している
「忍者プラン」のメイン料理の手巻き寿司の作り方が置いてあった。
スタッフの梅本愛がイラスト入りで
手巻きの作り方を綺麗に書いてくれていた。

うれしかった。
正夢とはこんなことを言うのだろう。

 

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ニューヨーク4.いらぬ心配

 

華子は、国際教養学部とか、国際のつく学部を受けたのだが、
それがどのような進路や興味を考えての結果なのか、
そのようなことは聞くこともなく、入試の季節に入った。

そして最後の女子大の入試の日の出来事だ。
その入試会場には保護者控室まで準備されており、
その控室には、大学の案内という冊子が置かれていた。
私は、何気なくそれを手に取り、学部案内の頁を覗いてみた。

驚いたことに華子が受験した国際学部での履修科目は、
世界史や政治経済など、華子の苦手な科目ばかりではないか。
小学生の頃から社会が大の苦手で、嫌いな科目だった。
今回の入試の選択科目も社会からは選ばず、
数学で受験しているのである。

なにを考えているのだろう。
試験が終わり、控室に来た華子に、
「華子が受験した国際学部は、
華子の苦手な科目ばっかり勉強せないかんごたるばい。
大学の4年間は、地獄ばい」と、言うと、
「あっ、そう。知らんかった」と、
いつものごとく他人事のように言った。
さらに「パパ、今日は、疲れたけん、私の大好物の中華にしよう」
と言うので、私も心配することがばかばかしくなり、
「華子は、中華の子って書くけんね」
などと言いながら笑い、中華レストランを目指して歩いた。

 

 

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↑ロックフェラーセンターのスケート場。
「華子、今年はすべってもいいよ」と言ったら
聞こえないふりをされたが、ひとりで大笑いした

 

 

 

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